安全柵に必要な強度

 

多くの機械エンジニアは、安全規格が安全柵の特定の耐衝撃性を特定の数値で定めていると考えています。

しかし、それは誤解です。  

ISO 14120の5.4.2項では「安全柵は、リスクアセスメントに基づいて静的および動的な力(圧力や衝撃)に耐える必要がある」と記されています。つまり、機械設計者はリスクアセスメントの一環として、必要な要件を明確にする必要があります。

 

機械設計者はリスクアセスメントの中で、どのように要件を設定すべきか?

設計者は、安全柵内にある機械や物体の動きによって飛散する部品や、制御不能な動きから生じる危険を認識する必要があります。さらに、安全柵の外側の機械や物体、そして人の動きから生じるリスクも考慮しなければなりません。一度危険が特定されれば、安全柵が耐えなければならない衝撃エネルギーを計算できます(物体の重さ×速度の2乗÷2)

 

ISO 14120は、安全柵内における耐衝撃性の最低基準を定めていません。

付属書Bに記載されている「発射体試験」は安全柵には適していません。付属書Cには、安全柵内側から機械部品が衝突した際を模擬する硬質の物体を使った振り子試験や、外側から人の体が衝突した際を模擬する人体(軟質の物体)を使った試験が記載されています(これらの試験はすべて参考情報であり、必須ではありません)

一方、安全柵外側から安全柵への衝撃試験では、最低値が定められています。軟体の重量は90kg、時速5.76km(秒速1.6m)以上に設定することが必要です。この衝撃は115.2ジュールに相当します。通常の安全柵は、製品によって1200ジュールから2500ジュールの硬質物体の衝撃に耐えることができます。

ほとんどの用途において、上記で十分に対応可能です。ただし非常に大きな物体や機械部品、または非常に高速な衝突が予想される場合には、より強力な安全柵が必要になる可能性があります。機械設計者が耐久性の基準を設定する責任があります。

 

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