安全ソリューション

車両事故を防ぐ

フォークリフト等の運搬車両は、オペレーターや歩行者に大きな危険をもたらします。工場や倉庫で発生する事故に占める割合は比較的低いものの、重傷や死亡事故の割合は非常に高いのが実情です。

工場や倉庫における車両事故の統計

最近公表された英国の「負傷、疾病および危険発生報告規則(RIDDOR)」に基づく年間事故統計は、この問題の深刻さを浮き彫りにしています。

    • 1,313名が走行中の車両に衝突されることで負傷しました¹
    • これらの負傷者の50%以上は、物流、倉庫および製造業において発生しています¹
    • この結果、25名が死亡しました¹
    • 報告された全事故のうち、走行中の車両によるものはわずか2%に過ぎませんが、死亡事故全体の約20%を占めており、これらの車両がもたらすリスクの深刻さを物語っています¹

 

米国労働安全衛生局(OSHA)は、RIDDORよりも詳細に事故、負傷、死亡事故のデータを報告しており、フォークリフトに関するリスクについても特別な調査を実施しています。このデータは、問題がいかに大きなものであるかを表しています。

    • 毎年推定33,800件の重傷事故が発生²
    • 75件以上の死亡事故が報告されている³
    • これらの死亡事故の3分の1以上が歩行者に関連しています³
    • 負傷の46%が、挟まれる、衝突される、または轢かれるといった事故に起因しています²

EUでも状況は同様であり、ドイツやスウェーデンの統計も似たような結果を示しており、共通の課題を浮き彫りにしています。

フォークリフトの危険性

フォークリフトの事故はとても危険で深刻です。作業環境、操作手順、さらにはフォークリフトそのものの特性が、事故のリスクを高める要因となっています。

フォークリフトの特性

    • 重量が重い
      フォークリフトは、車両サイズに対して非常に重く、また荷物を積載している場合には、さらに重量が増します。そのため、衝突時には大きなエネルギーが発生します。
    • 重心が高い
      荷物を運ぶ際に、重心が高くなります。その結果、フォークリフトが不安定になり、転倒リスクが高まります。
    • 視界の悪さ
      フォークリフトの設計上、特に高い荷物を運ぶ際には、オペレーターの視界が制限され、歩行者や障害物を見つけにくくなることがあります。
    • 独特な運転特性
      フォークリフトは小回りが利く反面、小さな回転半径で急に方向転換することが可能なため、狭い場所や混雑した環境では事故のリスクが増します。
    • 速度と加速性能
      フォークリフトは高速走行を前提としていませんが、急な加速や減速が可能です。その結果、急停止により荷物が移動したり落下したりするほか、運転の安定性が急激に変化することがあります。
    • 衝撃吸収ゾーンの欠如
      乗用車とは異なり、フォークリフトは衝突時の衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」が設計されていません。そのため、事故が発生した場合、衝撃がそのままオペレーターや構造物、または人に直接伝わってしまいます。

 

負傷の深刻化につながる要因

    • 現場の混雑
      物流センターや製造現場では、スペースが限られていることが多く、パレットラックの間隔や、機械の周囲も狭くなっており、車両が込み合うことで混雑します。
    • 硬すぎる保護構造物
      スチールやコンクリート製のバリアなど、予防措置が逆にリスクを高める場合があります。歩行者が車両とバリアの間に挟まれると、圧迫や切断などの重傷につながる可能性が高まります。また、フォークリフトが急停止する際の衝撃を増大させるため、運転者が負傷するリスクも高まります。
    • 不適切な作業手順
      現場の実態、ピーク時の状況、歩行者の出入りを十分に考慮していない作業手順は問題を引き起こします。車両が過剰に配置されたり、歩行者と車両を不要に混在させることで事故の可能性が高まります。
    • 非現実的な目標設定
      安全よりも速度を重視するような目標がオペレーターに設定されている場合、スピード違反や危険な運転習慣を助長する恐れがあります。

フォークリフト事故を減らすには?

自社の特定の用途や作業現場におけるリスクを評価する際は、すべての関係者を巻き込み、潜在的な対策が十分に検討され、合意されるようにしてください。これを行うことは、優れたリスク評価の基盤であり、同時に合意された対策が将来的に回避される可能性を減らすためにも重要です。
リスクを特定した後は、「STOP戦略」substitution(代替)technical(技術的)organisational(組織的)personal(個人)への措置を適用することが推奨されます。

  • 代替(Substitution
    作業条件や環境を変更し、危険な状況を排除するよう努めます。例えば、工場のレイアウトや物流の流れを見直し、車両の移動を最小限に抑えることが考えられます。
  • 技術的/物理的対策 (Technical/Physical
    国際基準や地域基準、実践規範を考慮した技術的・物理的対策を講じます。具体例は以下の通りです 
    • 安全バリアの設置:歩行者と車両の物理的分離や重要なインフラの保護を目的とします。
    • 補助安全装置:動作検知アラートシステムや視界改善のための戦略的に配置されたミラーなど。
  • 組織的対策(Organisational measure)
    • 現場交通ポリシーの明確化。通行権や速度制限に関するポリシーを定めることで、安全性の向上と運用効率の改善を図ります。
    • 交通の流れや速度制限に関する標識の設置
    • 訪問者向けの安全情報の提供
    • フォークリフトを毎日点検し、その点検結果を文書化します。
    • パレットラックやその他重要インフラの点検
    • 安全バリアの状態確認
  • 個人対策/トレーニング(Personal measures/Training)
    • フォークリフトの正しい操作方法に関する運転者の訓練
    • 歩行者への、バリア内の通路やゲートの正しい利用方法、フォークリフトの危険性に関する教育
    • 全従業員に対する、リスクや損傷の報告手順に関するトレーニング

まとめ

簡単な対策でも、作業員の安全性は大きく変わります。適切なメンテナンス、トレーニング、物理的な障壁の導入を定期的に行うことで、職場環境をより安全にすることができます。

出典:


¹ RIDDOR 2023-2024
² OSHA
³ 米国労働統計局 

安全な職場環境づくりについて相談する

数十年にわたり経験を積み重ねてきたAxelentが、最高の安全基準を満たすソリューションをご提供いたします。人、設備、ビジネスをお客様と共に守ります。

より安全で、効率的な職場環境の構築をお手伝いします。

下記よりお問い合わせください。 








瀬谷 進一
瀬谷 進一 Shinichi Seya

Axelent Japan

営業マネージャー Sales Manager

田村 永
田村 永 Haruka Tamura

Axelent Japan

営業 – Digital Sales

Axelent Safety Book

知識の世界にアクセスし、進歩、革新、安全の基盤を手に入れましょう。

オープンでアクセス可能な知識をすべての人へ。私たちの使命は明確です。世界中の個人、産業、職場が、よりスマートで安全、そして効率的な環境に変わる力を与えることです。製造業、建設業、物流業に関わらず、どこにいても何をしていても、安全と生産性の未来を形作る洞察を得る資格があります。